役人と学者

日曜日の朝、気象情報を確認しようとNHKを見たら、「日曜討論」をやっていた。テーマは半島情勢らしい。

外務省の役人上がりの外交評論家、自衛官から外務省に出向してそのまま役人になった人物、それに大学の先生の3人の顔が見えた。その他にもいたかもしれないが、すぐにデータ放送に切り替えそのままスイッチを切ったので詳細はわからない。

役人に先生。まじめな人たちなのだろう。まじめなのだろうが、しかし、自分の名前で最終的な責任をとる経験をしたことのない元役人と、まあ、失礼ながら浮き世離れした研究の世界の住人の学者先生。その彼らが、すぐ隣の二つの国家が砲火を交えて対峙しているというこの緊迫した状況の中で、半島情勢をなにやら「討論」し、それを国営放送が全国放送する。

戦争に負けてから60年余。すっかり独立国としての矜持を失ったわが太平の日本国。隣国の不幸に際して、内閣総理大臣は自己の不始末を糊塗する千載一遇の好機とはしゃぎ、国営放送は元役人と学者先生の長閑なことば遊びを垂れ流す。

ナイーブというかウブというか免疫がないというか、いわゆる指導層がこんなていたらくでは、一般国民はどうしたらよいというのだろうか。こんなところへ、隣国に砲煙が上がったことをいいことに排外的で偏狭なナショナリズムを煽るような人物が現れたらどうなるか。国家の進路が危うくなるような流れにならないとも限らないではないか。

こんなときには、小学生の避難訓練の合い言葉「おかし(押さない駈けない喋らない)」ではないが、いたずらに危機感を煽る動きを、押し進めない、関わらない、シカとするというのを肝に銘じるのがよろしいのではないだろうか。

内閣総理大臣と国営放送の幹部諸氏よ、小学生に学ぼうではないか。