大震災と福島原発事故が明らかにしたことは、結局のところ、この国の政府には、国民と国土を守る意志も能力もないということのように思われる。
福島原発の事故。「想定外」と東電、原子力推進論者は言うけれど、この事故のどこが「想定外」なのか。
わが国は地震国であり、津波の大被害も繰り返し受けてきた。それを考えれば、津波常襲地帯の太平洋岸に立地した原発の、それも非常電源関連装置を海岸すぐ近くに置くことの危険は明らかだった。
にもかかわらず、これを指導するでもなく放置する政府とは何ぞや。
2位の座を明け渡しとはいえ、依然として有数の経済大国であり、巨額の防衛関係費、災害対策費を国家予算として計上しながら、この災害時に、他国の軍隊の出動を頼まなくてはならない政府とは何ぞや。
「治にいて乱を忘れず」とは政治の要諦だが、この国の政治は、治にいて乱を忘れ去り、新聞・TV演出の愚にもつかない「政治とカネ」に踊っていた。
愚者の楽園。
第2次世界大戦敗北後、敵国アメリカの占領を経て、この国は、国民と国土は自国政府が守るという独立国としての当然の有りようを見失ってしまったかのようである。