米国憲法前文の精神

直前の記事で、現職の米国大統領が、国民間の分断も辞さないという強硬な言動を重ねていると書いた。分断とくれば団結とか統一。そうだ、米国の憲法に統一がどうしたとかの文言があったな。調べた結果が下記。前文にそれがあった。

We the People of the United States, in Order to form a more perfect Union, establish Justice, insure domestic Tranquility, provide for the common defence, promote the general Welfare, and secure the Blessings of Liberty to ourselves and our Posterity, do ordain and establish this Constitution for the United States of America. (米国National ArchivesのWebページからコピー)
われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に 備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここに アメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。(AMERICAN CENTER JAPANのWebページからコピー)

注目は”to form a more perfect Union”のところ。”Union”が大文字で始まっているので特別な意味があるとして日本語では”連邦”としたのか。しかし、小文字で始まる普通名詞の”union”は結合、団結、一致、調和となる。つまり、大胆に解釈すれば、団結一致のために憲法を制定した。しかも、独立戦争という多大の犠牲を払って、ということ。そう考えると、憲法の精神に反するような分断をあおる行為を重ねる大統領というのはそもそもなんなのかということになる。しかも、大統領はもちろんのこと、米国で公職に就く人はすべて、憲法を擁護する旨の宣誓をしているはずだから、憲法擁護義務違反ということにもなる。大統領が憲法違反?!

してみると、今現在、太平洋の東はるかの国で起こっていることは、前代未聞、空前(絶後になるかどうかはわからない)の異常事態と考えねばならない。なにしろ彼の国は、国力全般については全盛期に比べれば力が落ちたといえ、いまなお史上最大の破壊力を装備した軍隊を持っている。その破壊力が、混乱状態の中でひょっとしてひょっとしてしまったら… クワバラクワバラ。この上は、彼の国の混迷が、地球規模の騒乱の引き金にならないことを願うのみ。

米国は第2次南北戦争状態?

現在の米国大統領は、伝えられるもろもろのふるまいからして、ほとんどもっぱら、地理的に中部南部の、所得階層的に中層以下の、人種的に白色系の、宗教的にキリスト教プロテスタント保守派の、必ず投票に出かけ自分に投票するという意味での強固な忠誠心を持つと彼が考える米国民に向けてのみ、語りかけているように見える。

これは、分断をも辞さないという意志の現れと判断して差し支えなかろう(他国の元首に対してはなはだ失礼ながら、彼が、そもそも、まとまった意思というものを持っているとして)。すると、彼は、日本語では南北戦争、米語ではAmerican Civil WarもしくはThe Civil War、つまりは市民どうしの戦いすなわち内戦の引き金を自ら引くことを想定しているのだろうか。

前回の内戦勃発時の大統領は、リンカーン。名分は奴隷解放。今回、それが起こるとして、大統領はあの人。そして名分は?