吉野家の牛丼

昨年末、総選挙の数日後、吉野家に持ち帰りの牛丼を2個買いに行った。600円ちょうど持って。
小さな張り紙がしてあって、値上げのお知らせらしい。目を凝らすと、牛丼並300→380。なんと一挙80円、30%近い値上げ。なので、買えずにそのまま引き上げたのだが、おそらくこれから先、当分、吉野家の牛丼は食べないだろうな。

値段が上がったからというのはもちろんだが、それよりも、政権与党の権力者に睨まれるのが怖いからなのかなんなのか分からないが(庶民の生活感覚に直結する、数百円単位で売り買いされる生活必需品の、総選挙直前の値上げには、いかに政治に無関心な一般庶民といえども少しは怒って投票所に行き自民党と公明党以外の政党に投票することになるかもしれない。そうしたら自民党・公明党の議席は減ったかもしれない。その責任を追及されるのが怖いのか…)、総選挙が終わってから待ってましたとばかりに値上する吉野家の経営者の根性が気に食わない。いったい彼らは誰のおかげで飯を食わせてもらっていると思っているのだ。毎日、百円玉数枚握りしめて全国の吉野家店舗で牛丼を食べている庶民のおかげではないか。その庶民よりも、時の権力者にへつらうような経営をしていると、早晩、庶民の支持を失うことになるぞ。
このところの円安と消費税増税で、石油を筆頭に物価万般が上昇し(すなわちインフレ)、輸入牛肉の価格も例外ではなく、アメリカ産牛肉に依存する吉野家の牛丼もいつかは値上げに踏み切らなければならなかっただろうということは、歓迎できることではないが、まあ、わからないでもない。たとえそれが30%近い大幅値上げであっても元々の牛丼並一杯300円が安すぎたともいえるから。
でも、この値上げのやり方はいけません。やるなら正々堂々、経済合理性にのみ則って他の一切の事情に顧慮することなく(選挙前に値上げして政権政党に楯突いたと睨まれるのが怖いなどどうでもよいことを顧慮することなく)、かくかくしかじかの理由で品質と安定供給を維持するため値上げのやむなきに至りました。庶民の皆様のフトコロを直撃したお詫びのしるしとして役員一同腹を切って…、というのは時代が古すぎるから、頭を丸めて向こう1年間役員報酬を30%カットいたします、ぐらいのことをやれば自分としてもたとえ300円が380円になろうとも吉野家の牛丼ファンでありつづけるのだがねえ。吉野家の現経営陣には腹の据わった人物がいないのかな。