米国大統領選二題

一つ。投票日の前後、首都ワシントンのホワイトハウス近くでは、なにごとが起こるやもしれぬ不安感から、住民が窓に板を打ち付けていたが、なにも起こらぬ様子なので、板をはがし始めたとNHK・BSデータ放送ニュース。結果を素直に受け入れない候補者あるいはその支持者が乱暴狼藉に及ぶかもしれないと住民が怯える近代民主主義の”母国”。

二つ。来年1月にはその職を去るだろう大統領が、意見の違い(人種暴動に連邦軍を派遣することを拒否した)を理由に国防長官を解任したが、新国防長官の任命に必要な議会上院の承認が出る見通しは暗いとこれまたNHK・BSニュース。選挙に負けて破れかぶれの八つ当たり。シェイクスピア『コリオレイナス』の主人公さながら、大人になりそこないの大統領

米国は、かつて、世界の諸問題を解決する力を持つと自負していた。その米国が、今や、問題そのものになりつつある。

トランプが負けを認めない

BSの”ニュース”が眼に飛び込んだ。

米国大統領選挙結果。トランプが敗北したらしい。だが、本人は負けを認めずに法廷闘争に持ち込むつもりらしい。

往生際の悪いやつだ。

専用機を乗り回したり、シークレット・サービスの24時間護衛を身辺に侍らせたり、現代の王侯気分を4年間も味わえたんだからもう十分だろう。

この大人のなりそこないめが!

ところで、この選挙、まだ結果が確定したわけではない。なのに、カナダやEC大国首脳が勝ち名乗りを上げた候補者と電話会談をしたり、わが政府は祝電を打ったりしているが、それって、内政干渉じゃないの。

内乱状態にある国家で複数の政治集団がそれぞれ正統な政権であると主張しているときに、一方の政治集団と会談したり祝電を打つことは、その集団の主張を認めることになる、というのが国際法の常識だったはず。

それを知らないはずはないから(政治家は知らなくとも、外交当局が知らないはずはない)承知でやっているのだろうが、いいんだろうか。トランプの主張や振る舞いはどうあれ、とにかく米国民のかなりの部分が票を投じたんだよ。そういう人たちの気持ちってものもあるんだから、成り行きが落ち着くまで待ってもよろしかろうに。今すぐそうしないと天地がひっくり返るってわけじゃあるまい。いったいぜんたい、ちかごろの政治家たちは何を考えているのかね。