小沢氏が民主党を離れた。
いいことである。次の選挙の投票先ができたのだから。これで一票を無駄にしないですむ。
離党に際して、小沢氏が発表した声明文(下に採録)は、政治的文書の手本になるものだ。民主主義であるとか、国民主権であるとかはどういうことなのかを、具体的な問題(ここでは公約違反の増税)に照らして明瞭に示している。
この声明文を読むと、小沢氏は民主主義のなんたるかを骨身に徹して知っており、かつ実践している政治家なのだとつくづく思う。例によって、無知蒙昧極まりないマスコミは犬の遠吠えを繰り返しているが、彼らは民主主義のなんたるかなんぞはこれっぽちも分かっていないのだ。
イエスは、ゴルゴダの丘で磔になったとき、「父よ、彼らを赦したまえ、その為す所を知らざればなり。」(ルカ伝)と言ったが、赦すかどうかはともかく、「その為す所」がどんな意味を持つか知ることなく小沢バッシングを繰り返す日本のマスコミ、そのマスコミに洗脳されていることに露ほども気づかずに雷同する人々は、イエスを磔にした当時の連中と何ら変わることがない。
[以下小沢氏離党声明の全文]
『民主党離党にあたって』
平成24年7月2日
先月26日に衆議院本会議で消費税の増税だけを先行する社会保障と税の一体改革関連法案の採決に際して反対票を投じた者のうち38名に加えて、同じく今回の消費税増税法案に反対をしている参議院議員12名の計50名の離党届を、本日、午後12時半に、衆議院議員分は山岡衆議院議員、参議院議員分は広野参議院議員が輿石幹事長に提出いたしました
私たちは衆議院での採決に際して、国民との約束にない消費税増税を先行して強行採決することは許されない、更に消費税増税以外の私たちが政権交代で訴えた社会保障政策などはすべて棚上げして実質的に国民との約束を消し去るという民主、自民、公明との三党合意は国民への背信行為であると主張してきました。こうしたことから我々は採決において『行財政改革、デフレ脱却政策、社会保障政策など増税の前にやるべきことがある』と主張し反対票を投じました。
そしてこれまで、輿石幹事長には三党合意による増税先行の今回の法案の撤回を求めて、何よりも民主党が国民との約束を守り努力するという政権交代の原点に立ち返ることが最善の策であると訴えてまいりました。
週が明けて本日になるまで、三党合意を考え直し党内結束するという趣旨の話はありませんでした。出てくるのは反対した者に対する処分の話ばかりでした。国民との約束を守ろうとする者たちを国民との約束を棚上げにする者たちが処分するとは、本末転倒な話であります。
もはや野田総理の下での民主党は、政権交代を成し遂げた民主党ではありません。民主、自民、公明という三大政党が官僚の言うがままに消費税増税の先行を三党合意で押し通すことは、国民から政策を選ぶ権利を奪うことであります。
三党合意とは政策の違いを国民に示し国民に政党を選んでもらうという二大政党政治、いわんや我々が目指してきた民主主義を根底から否定するものであります。
私たちは事ここに至って 国民の生活が第一の政策を国民に示し、国民が政治を選択する権利を何としても確保することこそ、混迷にあるこの国を救い東日本大震災で被災された方々をはじめ国民を守る政治家としての使命であるとの決意を新たにしました。
私たちは今後、新党の立ち上げも視野に入れて、政権交代の原点に立ち返り国民が選択できる政治を構築するために、本日、民主党を離党いたしました。
衆議院議員 小沢一郎