ムバラク辞任で困ってしまった日経カイロ特派員の花房君

2月6日付のブログ記事「エジプト情勢とアメリカの忠実な番犬である日本経済新聞」で、日本経済新聞のカイロにいるらしい花房という人の記事をこき下ろした。

その、同じ花房という人の「エジプト大統領辞任、軍が権力掌握 米は歓迎の意向」という見出しの記事が2月12日付け日経のネット版に載っていた。冒頭部分は以下の通り。

【カ イロ=花房良祐】29年間にわたりエジプトを統治してきたムバラク大統領が11日、辞任した。スレイマン副大統領は同日、国営テレビを通じて「ムバラク大 統領は辞任を決断した」と話し、権力を軍が掌握すると宣言した。チュニジア政変に触発されてエジプトでは1月25日から連日抗議デモが続いていた。9月の 大統領選挙への不出馬を表明していたが即時辞任要求は収まらず、任期半ばの退任を余儀なくされた。米国政府は歓迎する意向だ。

2月6日付のブログ記事で指摘したが、この花房という人、デモの混乱に一部市民や観光産業関係者がいらだちを募らせており、ムバラク側が沈静化を図っていると書いて、反ムバラクのデモが低調になることを期待している気持ちを隠そうとしていなかった。

花房という人の気持ちの根底には、アメリカがすることは何でも正しい、そのアメリカが支援してきたムバラク政権にいちゃもんをつける輩は不届きものであるという、デモ参加者に対しての否定的な感覚があったのであろう。

ところが、デモに示されたエジプト国民の意思に逆らえず、ムバラク政権が倒れてしまったので、さあ困った。ムバラク政権が倒れないこと、すなわちアメリカのエジプト支配が続くことを願っていったので、デモに示されたエジプト国民の主張を顧慮せずに、ムバラク政権側に立って原稿を書き飛ばしていたものだから、引っ込みがつかなくなってしまった。

でも、世の中、捨てる神あれば拾う神ありだ。

「米国政府は歓迎する意向だ。」

花房という人にとって、救世主が現れた。この人の大好きなアメリカが、政権交代を是認したのだ。

よかったね、ほっとしたことでしょう、花房君。アメリカ様がオーケーを出したので、これまで間違った方向を向いて書いていた原稿の後始末を自分でしなくても済むことになったのだ。これからは、アメリカ様が歓迎する方向だ、と文章を結べば、見当違いの原稿を書いてきた不始末はすべて免責されるというわけなのだから。

ろくに取材もしないで、アメリカべったりの原稿を書いていればそれで済むような記者であれば、なにも大金をかけてカイロくんだりまで派遣することはないだろう。この花房という人の書いた、この程度の原稿であれば、エジプト現地にいなくても、通信社の配信記事と衛星中継のTV画像を見て、アメリカ万歳という調味料をかければ、日本にいてもいくらでも書けるのではないか。

こんなことに無駄金を使う新聞紙を、高い金を出して買う余裕のある人が何百万人もいるのだから、日本が不況だというのはひょっとして眉唾?