東日本中部日本北海道大震災・番外ー震災復興と人心一新

この大震災、人命、財産の損失の大きさはもちろんのこと、人々の心の傷の深さも尋常のものではない。この影響は、広範囲にわたり、しかも、相当長期に及ぶだろう。だから、復興策も、常識にとらわれることなく、大胆かつ徹底的なものでなければならない。わが日本の社会と国家の総力を結集してことにあたる必要がある。

それが成るか成らぬかは、われわれが、将来に希望を持って復興の諸事業に取り組めるかどうかにかかっている。

落ち込んだ人々の気持ちを前向きにし、将来に希望を持たせるためには、人心一新が必要だ。かつては、このような天変地異があると、為政者は元号を変え、あるいは遷都し、あるいは自ら退いて他に政権を譲り渡した。

菅直人政権は、このような政道の常識からも、初期対応の拙劣さからも、しかるべき時期に自ら退陣し、政権運営を他に委ねるべきだ。

ところが、こうした政権批判は不謹慎だというような論調が、一部にあるが、それは間違っている。

大災害だから力を合わせなければならないということと、リーダーやそのやり方を批判してはいけないということとは、同じではない。救援や復興に向けて各人がそれぞれの持ち場でできる限り努力することは当然だが、だからといって、そのことと、為政者やその行為を批判することは別のことだ。

むしろ、このような時にこそ、各人が、気付いたこと、思ったことを大胆に発言し、百家争鳴することの方が、よりよい復興策を作り上げるために必要であるし、人々が積極的に復興に取り組む気持ちを高めることにつながると思う。逆に、一億一心火の玉となって、十分吟味されていない方向に一斉に走り出すことの方が、社会と国家にとってはよほど危険だ。

未曾有の大災害だからといって、健全な批判精神を失ってはいけない。